建物賃貸運用をめぐる未払い賃料等請求訴訟において、実質的な全面勝訴に近い内容で裁判上の和解が成立した事例
ご相談内容
当事務所の顧問先企業様からのご相談です。
不動産管理事業者である顧問先企業様は、不動産オーナーから住宅の賃貸運用・管理を委託されていました。
対象物件の転借人(入居者)との間で建物瑕疵(カビ・水漏れ等)をめぐる別件訴訟が発生し、入居者の月額賃料が25万円から20万円に減額される判決が確定したことを受け、依頼者様は過払いとなった差額分を清算するため所有者への送金を一時的に停止しました。
これに対しオーナー側は、「両者間の契約は固定賃料を保証するサブリース(転貸借)契約であり、同意のない減額や清算は認められない」と主張。約7ヶ月分の未払い賃料等として約160万円の支払いを求める訴訟を提起されました。
弁護士の対応方針
当事務所では、以下の対応方針を立て、主張・立証を展開しました。
①契約の法律的性質の明示
本件契約は固定賃料を保証する転貸借(サブリース)契約ではなく、あくまで管理業務委託契約に過ぎないことを主張。転借人の賃料減額に伴い、所有者への送金額も連動して減額・清算されるべき合理的な理由を各種準備書面および証拠によって立証しました。
②裁判所の心証形成における優位を確保
準備書面等の提出を通じ、「両者間に賃貸借契約が締結されたと解するには疑問がある」という当方に極めて有利な裁判所の心証(当方の業務委託契約であるとの主張を認める判断)を引き出しました。
解決結果
判決であれば勝訴が確実な状況であったものの、裁判官からは「尋問等による時間的・精神的負担や風評被害リスク等」を示唆されつつ、強い和解の働きかけを受ける展開となりました。当方としては尋問等の時間的負担は懸念事項ではありませんでしたので、判決に進むように上申したところ、相手方(原告)側から裁判所の和解案よりもさらに低い金額での和解を受け入れる旨の回答が示されました。
判決を得るまでの追加コストや手続上の不確定要素を考慮し、依頼者様と十分に協議を行ったうえで、この低額での和解案を受け入れる決定を行いました。
判決を得るまでの追加コストや手続上の不確定要素を考慮し、依頼者様と十分に協議を行ったうえで、この低額での和解案を受け入れる決定を行いました。その結果、下記の内容の裁判上の和解が成立しました。
- 解決金10万円
- 原告はその余の請求を放棄
- 相互に何らの債権債務がないことを確認
- 和解内容に関する口外禁止(守秘義務)条項付き
勝訴確実な判決を待つ選択肢もありましたが、相手方からの大幅な減額提示を捉えて早期決着を図ることで、結果として依頼者様にとってリスクなく負担を最小限に抑えた着地を実現することができました。
【弁護士の雑感】
裁判官からは「尋問等による時間的・精神的負担や風評被害リスク」などを強く示唆され、かなり強引とも言える形で和解を強く勧められる展開となりました。当方としては尋問等の時間的負担を特別視してはいなかったため、判決も辞さない毅然とした態度を保ちつつ手続きを進めた結果、相手方(原告)側から裁判所の和解案よりもさらに低い金額での和解を受け入れる旨の回答が引き出されました。
裁判官からの強い和解勧告という難しい局面においても流されることなく、相手方から極めて有利な譲歩を引き出すことで、実質的に当方の主張が大幅に認められた形での早期解決を実現しました。

