名義貸し状態の取締役辞任を求め、訴訟により退任登記手続きを実現した事例
ご相談(背景)
懇意にしている税理士の先生より、「過去に知人の会社に名前を貸して取締役に就任してしまった。定額の役員報酬が約定されていたが一度も支払われず、辞任を申し出たものの登記手続きをしてくれない」とのご相談を受けました。
ご相談者様は、経営には一切関与しておらず、未払い役員報酬の放置に加えて、名義貸し状態が続くことによる法的な役員責任リスクを強く懸念されていました。本店所在地宛てに辞任届(内容証明郵便)を送付したものの、会社側および代表者とは完全に連絡が途絶えており、自力での解決が不可能な状態となっていました。
弁護士の対応方針
①現地調査および住民票調査による「実態」の特定
提訴にあたり、当事務所にて被告会社の本店所在地および代表取締役の登記上住所の現地調査・住民票等の照会を実施いたしました。
代表者の住所:現地を調査したところ既に別の居住者が住んでおり、住民票の動態調査でも転居届が出されていない「居所不明」の状態であることが判明。
本店所在地:登記上の本店はレンタルオフィスとなっており、表札の掲示もなく、事業活動や出入りがない退去状態であることが確認されました。
②役員退任登記手続請求訴訟
会社・代表者ともに実体がない(送達不能)状態であったため、上記調査結果を報告書として裁判所に提出し、「公示送達」による手続きを進めました。口頭弁論を経て、原告の請求がすべて認められ、勝訴判決(欠席判決)を得ました。
解決結果
判決確定後、裁判所から判決および確定証明書を取得し、法務局にて原告単独での取締役辞任登記手続きを完了しました。
会社が実質的に倒産・夜逃げ状態となり、代表者や事務所が存在しない場合、一見すると「どうしようもない」と諦めてしまいがちです。しかし、弁護士が現地調査や住民票・戸籍の動態照会を行い、実態がないことを証拠に基づいて裁判所に立証することで、公示送達を用いた訴訟・判決の取得が可能となります。
判決を得られれば、会社側の協力を一切得ることなく、元役員が単独で法務局へ登記申請を行って役員名義を外すことができます。
「名義貸し役員から抜け出したいが、相手と連絡が取れない・会社が存在しない」というお困りごとについても、当事務所では現地調査から訴訟・登記手続きまで一貫して対応しております。税理士・公認会計士等の先生方からのご相談やお客様のご紹介も随時承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

