被相続人死亡後の預金引き出しを追及、不動産の任意売却により適切な遺産分割を実現した事例

目次

事例背景

被相続人(父親)が亡くなった後、後妻と先妻の子4名との間で遺産分割の対立が生じました。先妻の子4名が当事務所にご相談に来られました。

1.事案の概要

  • 被相続人の死亡後、後妻が被相続人名義の口座から800万円以上の預金を無断で引き出していることが発覚。しかし、後妻はその使い道を明かさず、遺産の開示にも非協力的な姿勢を見せていました。
  • 後妻は「自分が負担した葬儀費用を、自分の遺産取り分に上乗せして支払うべきだ」と主張。預金の無断引き出しがあるにもかかわらず、さらに自己の利益を優先する姿勢を示していました。
  • 遺産の内訳は、不動産4000万円(査定額)、預貯金2000万円、生命保険の解約返戻金など。
  • 後妻は「現在の自宅(被相続人名義の不動産)を単独で相続したい」と主張。しかし、後妻の法定相続分は2分の1(3000万円)であり、4000万円の不動産を単独取得してしまうと、後妻の取り分を大幅にオーバー(超過)してしまいます。にもかかわらず、後妻には他の相続人に支払うべき代償金を支払うだけの資力(手元資金)はありませんでした。
  • ご依頼者様(子4名)のうち1名が海外に在住しており、時差や書類の手続き(サイン証明の取得など)の面で、親族間だけでの円滑な交渉が難しい状態でした。

解決策

子4名全員から委任を受け、以下のステップで解決に向けて動きました。

  • 被相続人名義の金融機関口座の取引履歴を全て取り寄せ、死亡前後の不審な資金移動を客観的な証拠として特定しました。死後の引き出し分については、預金を引き出した相続人以外の相続人全員が合意をすれば(本件では子4名の同意)、遺産分割協議・調停・審判のなかでまとめて解決することが可能です(民法906条の2第1項。 引き出した金額を当該相続人の取得分として持ち戻し計算(遺産に戻して計算する方法)し、最終的な取り分を調整した内容での解決を求めました。
  • 後妻との直接交渉による解決は困難と判断し、早期に家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てました。
  • 調停の場において、後妻に代償金の支払能力がない以上、不動産の単独取得は不合理であることを法的に主張。最終的に、不動産を売却して現金化する任意売却の方針で合意を取り付けるよう活動しました。
  • 後妻が主張する葬儀費用の取り分上乗せに対し、800万円の不審な引き出しがある点などを踏まえ、法的な観点から反論。当方としては「葬儀費用は喪主の負担とする(遺産からは差し引かない)」という形を求めました。

結果

家庭裁判所での調停手続きを経て、後妻に有利な条件をすべて排除した内容で調停が成立しました。

  • 後妻による葬儀費用の取り分上乗せ主張を退け、喪主である後妻が負担(遺産からの差し引きなし)とする内容で合意。
  • 不動産を4500万円相当で任意売却し、子4人も正当な権利(現金)を確保できました。
  • 後妻が勝手に引き出した800万円を「後妻が遺産を前払いで受け取ったもの」として相続分から差し引く(持ち戻す)ことに成功しました。

結果として、ご依頼者様である子4名は、後妻の一人勝ちを防ぐことができ、不当に引き出された預金分も実質的に回収し、公平な遺産を獲得することができました。

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