債権回収法務

企業における債権回収法務

法務手続を適切に行う体制があることは社外の取引先に対して強いメッセージになることがあります。回収が甘い企業だと認識されると、資金繰りに苦しむ取引先から「あそこは後回しでいい」と判断され、悪循環に陥る可能性があります。
逆に、回収法務が整備されている企業は、コンプライアンスやリスク管理が徹底されているとして株主や金融機関からの信用を得る材料となります。

関連する法律
  • 民事保全法
  • 民事執行法

契約段階における予防法務

債権回収は時間が経過するほど困難になる傾向があります。
そこで、契約書の内容が重要になってきますが、ビジネスの現場では「発注者」と「受注者」の力関係(交渉力)が契約書の内容を決定づけるのが現実です。
契約書をガチガチに固めて取引が流れるくらいなら多少のリスクの飲んででも受注したいと考えるのはよく理解できます。取引相手と取引することになった経緯、力関係等を踏まえ、可能な限り自社に有利な契約締結を目指します。

サポート内容
  • 与信管理スキームの構築(信用調査方法のアドバイス)
  • 契約書の作成、リーガルチェック

支払期限経過後の対応

弁護士が代理人として表に出ることで相手方への心理的プレッシャーを最大化します。相手方が「この会社は後回しにできない」と認識し、これだけで支払いに応じるケースも少なくありません。
取引先と交渉し、一括返済が困難な事情が判明するなど、強硬手段がかえって逆効果と考えられる場合は、回収が最も高い方法を選択・提案します。

サポート内容
  • 弁護士名義での内容証明郵便
  • 示談・支払交渉
  • 公正証書作成

支払い拒否が明らかになった場合

取引先が任意の支払に応じない場合、裁判所での手続が必要となります。
ただし、この段階ではこれ以上追っても費用の無駄という損切りの判断もあり得ます。取引先の交渉時の態度や資産状況に鑑みて回収可能性の冷静な判断が必要となります。

サポート内容
  • 仮差押え
  • 少額訴訟・支払督促・訴訟
  • 強制執行

解決事例・実績

Case1

問題社員への貸付金回収と退職の実現

従業員に対し、善意で数百万にのぼる生活資金を貸し付けていた企業からの相談。当該従業員は体調不良を理由に休業を願い出て、休業手当を受給しながらも貸付金の返済は一切行わないという対応を続けていました。会社としては、業務への支障も大きく、早期に退職させたい意向でしたが、強引な解雇は不当解雇として争われるリスクがあるという難しい状況でした。

解決策

1.民事・労務の両面からのアプローチ
単なる退職勧奨ではなく、まずは「貸付金の返済滞納」という明確な契約違反に着目。
弁護士名で内容証明郵便を送付し、法的措置を辞さない構えを明確にしました。

2.出口戦略としての退職勧奨
返済義務の履行を強く迫る一方で、会社との雇用関係を継続することのデメリットを説き、面談の機会を設け、今後の勤務意思についてヒアリングを行いました。

3.現実的な支払いスケジュールの策定
相手方の家庭の状況や経済状況をヒアリングし、一括返済が困難であることを見越した上で、確実性の高い分割返済案を提示。

結果

内容証明による通告後、従業員は自身の立場と法的リスクを認識し、退職に合意。懸念されていた貸付金についても合意書を交わした上で、分割による着実な回収を開始することができました。会社側は、不当解雇のリスクを負うことなく、問題社員との関係を解消し、債権回収の道筋を立てることに成功しました。

Case2

事業者間契約のトラブルに伴う少額訴訟・一斉回収事案

ご相談に依頼した企業は、各相手方(4名)に対し、債権を有していましたが、いずれの債権も少額(60万円以下)でした。相手方が支払いに応じないまま時間だけが経過していましたが、個別に訴訟を提起するには弁護士費用のコストが見合わないという課題があったため、4社分まとめて受任し、解決を図ることとなりました。

解決策

1.少額訴訟手続きの選択と一斉提訴
早期解決を優先するため、原則1回の期日で終了する少額訴訟を選択しました。
4件を同時に申し立てることで時間の短縮を図りました。

2.期日の対応
4名のうち、2名は欠席したため、欠席判決となり、当方の請求が全面的に認められました。
残り2名は出席し、話し合いの場が設けられ、長期の分割払いでの和解が成立しました。

結果

最終的に、出席しなかった2名については弁護士費用の観点から強制執行を断念せざるを得ませんでしたが(もっとも、判決を得たことにより時効期間は10年に伸長されました)、残る2名については長期の分割払いではありますが、法的な拘束力を持った合意を交わしたことで、支払いが滞ることなく、実質的な債権回収を実現することができました。

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